《MUMEI》

「テメェは赤ん坊か」
その仕草は何とも可愛らしく、そして過去に深沢が失ってしまったものを思い出させた
人と居る事で得られる温かさと安らぎ
それを深沢に、無意識ではあるが与え続ける滝川が、深沢が永遠を生き続けていく中無くてはならない存在だという事は
もはや言うまでもなかった
柄にもなく様々考え始め
やはり大人しく家に居る事など自分の性に合わないと、深沢はまた外へ
あの少年と出会った場所へと再度脚を運ぶ
人通りの多い交差点
行き交う人々の中に少年の姿がないか辺りを見回し始めていた
だがそれらしい姿は見つからず
それでも深沢は、闇雲に街中を歩き続けたのだった……

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