《MUMEI》

そのまま、周哉と直人は少し早い夕食を食べた。
「そういえば、弥生さんがお前の事を誉めてたぞ」
突然直人が周哉に言った。
「ん?何で?」
周哉には誉められる要素が見当たらない。
「ちゃんと挨拶出来たから、だって」
思わず言葉を失う周哉。
(ナメられてんのかな?俺。最近じゃ小学生だってちゃんと挨拶出来るぜ)
「ふ〜ん、そう」
とりあえず相づちをうつ周哉。
「あ、そうそう、娘さんの名前聞いてきたぞ」
「ふーん、なんていうの?」
「秋穂ちゃん、て言うんだって。それでな・・・」
と急に真面目な口調になる直人。
その変化にちょっと驚く周哉。
「それで、何だよ」
「実はな、その子の写真を見たんだ」
「で?」
「あれは、ほんっと〜に驚いた」
驚いた、を凄く強調して直人は言った。
「何でそんなに驚いてんだよ」
「いや、お前も絶対に驚くよ」
「はあ?」
意味が分からない周哉。
「まあ、明日の夜になればわかるさ」
もったいぶって直人が言う。
(何なんだ?いったい)
直人の言葉を不審に思いながら、周哉は夕食を食べ続けた。
(ま、明日の夜になればわかるんだしな)

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫