《MUMEI》
デアイ
全く、冗談じゃない。穂波にまでそういった教育を?俺だけで十分だっていうのに。
それに俺のために穂波にまで迷惑はかけてやりたくないし、遊ばせてあげたい。
せっかくの新しい1日というのに、朝から気分が悪い。
ブツブツ言いながら歩いているとわりとすぐに学校にたどり着いた。
新入生と思われる制服が新しい生徒が多く学校に入っていった。
そのまま俺も吸い込まれていく生徒たちに混じった。

クラス割表が配られてそれをもとに体育館へ行く。どうせ知っている奴はいないので一人でさっさと行って指定された席に着いた。
周りはざわざわしていてみんな友達といるようだった。浮いているのは俺一人のようだ。
おとなしく座っているといきなり肩をたたかれた。
「こんちわ!俺、席となりなんよ。仲良うしてや」
「…か、関西弁だ…」
「せや、俺去年越してきてな、あんまし友達おらんねん。俺俊平や。そっちは?」
「あ、俺?俺秀太。俺最近引っ越してきた。何週間か前」
俺がそういうと、俊平は驚いたようにいった。
「ほんまかいな。じゃ、なおさら仲良くせないかんな!改めてよろしく」
俊平は手を出してきた。俺は俊平の手を握り返した。
「しっかしまあ、はねてんな」
「あ、髪の話?半分癖毛で半分寝癖。困ってんだよ」
「まじ?ストパーとかかければええんやない?俺かけてん」
そうは言われたものの、俊平の髪はワックスで少し立てていて前髪もサラサラ。とても癖毛には見えない。
「え、俊平癖毛?」
「うん。秀太と同じなんよ。とれてくると困るんやけど」
俊平はくにゃりと笑った。
そこで先生から指示が出た。時間だから席に着けと。もともと座っていた秀太たちには関係なかったが。

入学式が終わると各クラスに行った。
席に座ると丁度後ろが俊平だった。
「ラッキー、秀太のうしろやん」
「俺もちょっと安心した。俊平の前で」
そのまま話し込んでいると突然人の影が机に映った。
「ねぇねぇ、なに話してんの?」
茶髪にメガネの男の子だった。その後ろに茶髪のセミロングの女の子と巻き髪の女の子がいた。いわゆる、イマドキの子たち。
「髪の話やねん。ストパーかけぇな言っとったんよ」
「ストパー?ああ、癖毛かぁ。って、君関西なの?」
後ろの茶髪の子が言った。
「うん。こいつも俺もやねん」
「えーっ、アナタも!?見えないよぉ」
「せや、それより名前はなんて言うん?」
俊平が言うとメガネの男の子から言った。
「俺は優介」
セミロングの女の子が言う。
「あたしは紗織。サオって呼んで」
巻き髪の女の子が言う。
「うちは雛子。ヒナって呼んでね」
向こうの自己紹介が終わると、俊平から言い始めた。
「俺は俊平やで。大阪出身や」
最後は俺だ。
「俺は秀太」
そうして自己紹介が終わると紗織がなんともうれしそうに言った。
「じゃあ、俊平と秀太ね!今日さ、カラオケ行かない?」
俺の頭の中には母さんの言った言葉がぐるぐる回っていた。塾がある…。
「おお!俺それ乗ったわ!」
俊平はすぐに返事をしてしまった。
俺はどうしよう。
「秀太も行こや。なんやあちらさん仲良さそうて一人イヤやねん」
俊平はそっと秀太に耳打ちした。俊平の言葉を聞くと俺の心はすぐに決まった。
「分かった。行くよ」
「それじゃあ五人かな?」
優介が言うと雛子が口を挟んだ。
「芽衣奈誘おうよ!」
「え、あいつ来るか?」
芽衣奈とは、誰か?俺と俊平は頭の上にハテナが浮かんだ。

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