《MUMEI》
惚れた弱味
仲村さんは、志穂さんとは中学の同級生で、忍が調べた志穂さんの過去を全て知った上で、志穂さんと再婚していた。


志穂さんが当時服用していた薬は胎児に影響を及ぼす物だったから、志穂さんは子供を作る為に再婚を機に薬を変えた。


薬が変わった事で、体調が不安定になった志穂さんを支えたのは、仲村さんと


何故か、屋代さんだった。

その後、祐と希先輩が生まれてからも、屋代さんと志穂さんの奇妙な友情は続いていた。


そして、現在も。


クリスマスパーティーで、気絶した仲村さんを支えて介助したのは屋代さんで、そんな屋代さんを手伝っていたのは志穂さんだった。

(『人間として好きだから』かなあ…)


俺が、そんな事を考えていると、忍は全く違う事を口にした。


《惚れた弱味だな。どんなに理不尽でも、非常識でも本当に愛した相手には逆らえない》

「俺と旦那様みたいに?」

《まぁ、そうだな》

「…忍、もそうだよな?」

俺は、一応確認してみた。

《下らない事を訊くな》


忍は答えなかった。


俺は、下らない事を、当たり前の事だと頭の中で変換した。


(じゃなきゃ、嫌いな俺をここまで面倒みないよな)

そう思った

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