《MUMEI》
最近の志貴
《ところで、初めての女友達とは、その後どうだ?》

(う…)


忍の質問に、俺は言葉を詰まらせた。


実は、志貴とは例のクリスマスパーティー以来、まともに話していなかった。


志貴は学校が終わるとバイトが忙しいからと、すぐに教室を出て行ってしまったし、朝もギリギリに登校していた。


よほどバイトが忙しいらしく、授業中は起きていたが、休み時間になると、お昼以外はスイッチが切れたように眠っていた。


そして、学校は明日から冬休みで、志貴は休み中もバイトが忙しいと言っていた。


丁度、夏休みとは逆のパターンだった。


(もしかして、俺、避けられてる?)


俺が夏休み中バイトに励んだのは、煩い周りを避ける為だったから、少し不安になった。


《恋人として、年末年始も行った方がいいか?》


「いや、いい! 忍も忙しいだろ!」


俺は正直、忍の完璧な恋人ぶりが…


信用していても、ほんの少し恐くなり始めていた。


(この前は祐だったから良かったけど…)


あんなシーンを志貴が見たらまた気絶するだろうと思った。


《そうか? バレンタインは行ってやるから …待ってろよ》


そして忍は一方的に電話を切った。

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