《MUMEI》

「ハア、ハア、ギリギリセーフ」
学校まで全力疾走してきた周哉は、息を切らしながらそう呟いた。
「明日は、もっと早く、起きなきゃな・・・」
同じく走ってきた直人も息を切らしてる。
二人が息を切らしながら教室に入ると、
「あ、やっと来た。おはよ」
奈々が二人に話しかけてきた。
「おはよ〜、ギリギリだね〜」
春もいた。
「おはよ」「おっす」
周哉と昇も挨拶する。
「さて、じゃあ俺の話を聞いてもらおうか」
席に着くと昇が言い出した。
「え〜やだな〜」
思わずグチる周哉。
昇の話とは、要は自慢話である。
「そういわずに聞けよ。あれは、奈々と春に賭でボコボコにされ、飯もろくに食えず死にかけてた時だった・・・」
勝手に語り出す昇。
はあ〜、と周哉は溜め息をついた。
昇の自慢話は一度始まるとなかなか終わらない。
だから周哉はほとんど聞き流し、今日の事を考えてた。
(まず、家帰ったら掃除して、その後は夕食作んなきゃな。2人分じゃなくて4人分か。そんなに時間あんのかよ?今日は学校来るべきじゃなかったな・・・)
「おい、聞いてんのかよ」
「え?あぁ、聞いてたよ」
結構時間が経っていたらしい。
気付けば昇の話も終わっていた。
「ならいい」
周哉の返事に昇は満足したらしい。
しばらくすると、
「みんな席着けー」
担任の落合が教室に入ってきてホームルームが始まった。
(今日、マジでどうしよっかな・・・)
ホームルームが始まっても悩み続ける周哉だった。

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