《MUMEI》
ごめんなさい



「気分最悪…」




「ワリイ、ついヤりたくなって」

お互いにイった後惇は真っ青になって起き上がれなくなった。




少量の水を口移しで何度も与えながらまた額を冷やしてやる。




「隆志って優しいのか優しくないのか何だかわかんね」



「だから御免って、つか惇の事愛しくってたまんねーんだからしょうがねーだろ?」





床からボクサーパンツを掴み足首に引っ掛ける。


上までズルズルと上げていくと惇は自分で腰を上げてくれ、最後まで履かせた。







「もしさ、今俺と隆志付き合ってなかったとすんじゃん」



「うん」




「裕斗も伊藤さんと付き合ってなかったとして」



「……」





「隆志がもし、俺達になんの感情もない状態で、俺達に告られたら……
隆志はどっち選んだのかな…」





惇に靴下を履かせながら俺は言った。





「このさい正直に言ってもいい?」




「はは、どうぞ、ぶっちゃけて」

惇は額から目元にまで掛かるタオルを、両手で押さえながら口元を吊り上げた。





それが、開き直るというよりも精神的余裕からくる仕種だと…、完全に理解出来る自分が、余程彼に自分が執着して観察してきている事に気付き、ちょっと心が擽ったくなった。





「きっと選べねーな、直ぐには」




「…そうなの?」




「だって基本女にしか興味なかったし、だから先に俺を落としたモン勝ちだったんじゃね?…それに…」


「それに…何だよ」

惇はタオルを剥がし、俺を真っ直ぐに見つめてきた。






俺は靴下を掃かせる手を休め、俺も惇をじっと見つめかえした。

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