《MUMEI》 「…ハァ…ハァ…どこに居るんだよ兄貴…!!」 兄貴はひょっとしたら餓死になってるかもしれないっていうのに。 俺は歩き探し、ついに小屋を見つけた。 (まさか) そして、小屋の前まで止まり、勢いよくドアを開けた。 「よお。あんたもしかして…」 俺が見た者は、バンダナを巻いた凛々しく、そして強そうな兄貴だった。 「あ…兄貴」 「久しぶりだなぁ!元気だったか?」 「写真持ってきて良かった〜!」 半分涙目になってしまった。 「明けましておめでとう、紀和」 「え?」 「だって、もう正月過ぎてんじゃん」 山籠りしていたせいか、俺より体格がいい。そして、背が高い。 「あ、あぁ…」 「なんだ?」 「ジャージで過ごしてんの?」 青いジャージ姿の兄貴は大悟とイメージが似ている。 「あぁ。このほうが寒くないんで」 「もういい加減家に帰ろうよ〜」 「そうだな。帰るか」 そして、俺と兄貴は、小屋を後にした。 「よかった…思ったより無事で」 「無事…?」 兄貴はカチンと来たのか、俺を睨みつけた。 「誰が無事だって!?俺はなぁ、寒い日も暑い日も山なんだよ!精神統一するのに最適なんだけどな!」 俺は圧倒した。 「わ…分かった。ご苦労様」 そして、町中に入る。 「町もすっかり変わったな」 「バンダナ取らないの?」 「ん?あぁ…さすがに取ったほうがいいか」 俺達は家に着いた。 すると、母さんと父さんが家の中で待っていた。 「紀和!なんでいるんだ!?」 「え?」 「隆太も!」 俺は父親の顔を見るのは久しぶりだったのだ。 「隆太…ご苦労様」 母さんがニコッと笑った。 「母さん…」 俺はその後、一日だけ泊まっていった。 「じゃあな、兄貴。さすがに携帯は買えよな」 「アハハ…買った時メールするよ」 そして、俺はマンションに着く。 「…兄貴か…」 前へ |次へ |
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