《MUMEI》

放課後……


今日も陸上の練習のために、少し速足で校門をくぐる。


「おぃ、そこのイケ面兄ちゃん。」

いきなり肩を掴まれた。

「あ?気安く触ってんじゃねぇよ!!」


……あ……なんだ。


蓮翔ちゃんがサングラスを掛けていた。


「よぉ兄ちゃん、威勢だけか?」


本人は俺が気付かないとでも思っているのだろうか。


「…なんの用だ?蓮翔ちゃん。」


途端にサングラスを掛けた男の身体がビクッと震えた。


「な、何で分かったんだよ!!」


「いや、フツーにわかんだろ。
サングラス掛けただけじゃん。」


「ちぇ……。」


「で、何か俺に用があるんだろ?」


「あ、そうだった。
颯ちゃんさ、試合のこと考えてくれた?」


「ん?試合??」


「まさか忘れてたのか?!」

蓮翔ちゃんが大袈裟に顔を歪ませる。


「ああ。」


「ああって……」


今度は大袈裟に肩を落とす。


そんなに俺に来て欲しいのか……?


「確か…今週の日曜だっけ?」


いつの間にか口が勝手に開いてた。

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