《MUMEI》
午前中の授業が終わって昼食の時間になった時、周哉は、
(やっぱ今日は帰ろう)
と思った。
鞄を持って教室を出ようとすると、昇が話しかけてきた。
「あれ?どっか行くのかよ?」
「あぁ、用事があるんだ。今日は帰る。落合に早退したって言っといて」
「わかった。そういえばお前、朝話しがあるとか言ってなかったっけ?」
昇は朝の事を覚えていたらしい。
(今は時間が惜しいからな・・・)
「あーいいや、忘れてくれ。じゃあな」
そう言って、周哉は家にかえった。
家に帰った周哉は直人が帰ってきているのに気付いた。
何やらガチャガチャやってる。
リビングを覗いた周哉が見たものは、荒れ果てたリビングだった。
「父さん、何やってんだよ!?」
周哉が聞くと、周哉を見た直人は、
「おぉ、帰ってきたか周哉。ちょうどいい。手伝え」
と言ってきた。
「だから何やってんだよ」
もう一度周哉が聞くと、直人は、
「何って、掃除だよ掃除」と言ってきた。
「・・・は?」
言葉を無くす周哉。
「だから掃除だって」
(こ、これのどこが掃除だよ!散らかしてるだけじゃん!)
心の中で叫ぶ周哉。
もはや口にだす気さえしない。
「はぁ〜、取りあえず片付けよう」
二人は(というより周哉が)その後、二時間程かけて掃除を終わらせた。
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