《MUMEI》

「……泣くのは私が与える苦痛のみにしろ。」

千石様の唇が舌が溢れる涙を拭い歯が瞼を甘噛みした。
噛まれたところから血の巡りが鈍くなり痺れる。


「……ふ……」

久しく受けていない痛みを掘り起こされた。
体温の低い膚が私の肩から手首に向かって伸びる。



「……この部屋は“籠”なのだ、このベッドの真の使い方はこうする。」

千石様はベッドの脇から拘束帯のような物を引っ張り出して来て、私の上半身を固定させ反対の位地に引っ掛けられた。
それを胸、腿、足首と三ヵ所止められて精神異常者が暴れないようにベッドに括りつけられたような姿にされた。

「……鞭の痕は大分消えてしまったか……」

臍の辺りをまさぐられた。冷たい掌が体温を奪う。
背筋が寒気立つ。
千石様は小さな箱をから黒い粒を取り出した。


「……宝石?」

暗がりで微光する輝きから宝石に見えた。


「お前のだ。十字架に細工されている。」

私に見えるようにちらつかせた。

黒い宝石が嵌められていて黒い十字架がぶら下がるようになっている……


「ピアス……」

私の言葉に笑みを浮かべ、それが答えだと気付く。



臍の窪みを指で摘まれる。千石様の手は数々の痛みを私に植え込んだ畏怖の象徴だ、反射的に体も萎縮してしまう。

口の中にブランケットの端が詰められた。




肉が、貫かれる感覚を知った。



首輪が息苦しくさせる。

「……首の……外して……くださらないのですか…………?」


「首輪は外さない。今に必要になるだろう。」

千石様の掌が瞼を降ろさせる。

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