《MUMEI》
試行錯誤
(さて、どうするか)


ファンクラブの会員の住所と氏名が既に印刷されている振袖年賀状を見て、俺は考え込んでいた。


これを出すか出さないかは、俺に任せると志貴は言っていた。


少し前の俺なら、躊躇いなく捨てていたと思う。


(でも、届かないと志貴が責められるよな)


ファンクラブの会長は志貴だった。


(しかもこれ、結構金かかってるよな)


何十枚もある写真付きの年賀状を見て、俺は…


(仕方ないか)


ため息をついて、小さく


『こういうのは、今年だけだから』


と注意書きをしてから、俺は近くのポストにファンクラブの分を投函した。


(さて、これはどうするかな)


手元に残ったのは、宛先が印刷されていない年賀状だった。


ファンクラブ以外からも、二通年賀状は届いていた。

それは忍と


春日さんを迎えにきた遠藤夫婦からだった。


春日さんは、無事に年を越したらしい。


俺は、毎日葉月さんのブログをチェックしていたのでその事はわかっていたが、やはり年賀状は嬉しかった。


(でもなあ、これはなぁ…)

春日さんは俺の写真付きの年賀状を希望していたが、振袖姿の俺でいいのか、俺は迷っていた。

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