《MUMEI》
改めて相談
《で、どうしたの?》

「あの…えっと…」


俺は自分の意志では無いことを強調しながら、振袖年賀状について説明した。


《それでいいよ》

「で、でも…」


葉月さんがはっきり言い切っても、俺は心配だった。

《君が友達と仲良く写ってる写真だろ?》

「でも、志貴は、あ、友達はともかく、俺、あんまり楽しそうじゃ…」

《作り笑いより、その方がいいよ。
面白いの、キヨさん好きだし。

…少しでも多く笑わせてあげてよ》


そんな風に言われたら


「はい」


俺は、頷くしかなかった。

《じゃあ、できるだけ早く出してね》

「わかりました。あの、美緒さんは?」

《今日は、雪山を撮りに行ってるよ。

俺も美緒も、キヨさんに少しでも綺麗なものを見せたいんだ》

「そうですか」

《うん。じゃあ、またね》
「はい、失礼します」


ピッ


電話を終えると、俺はすぐに二通の年賀状を出した。


(俺が友達と仲良くしてると、春日さんは…嬉しいんだな)


俺は、春日さんの為にも


志貴を


守を、真司を…拓磨を


大切にしようと思った。


(あ、忘れてた)


ついでに祐も、大切にしてやろうと思った。

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