《MUMEI》

俺は全く知らなかったのだ。
今まで一人暮らしをしていたのだから。

なのに今になって…

(こういう時…大悟ならどう出るのかな)

「電話しよう」
そして、俺は受話器を握る。

「もしもし…」
「あ、紀和か!」
「ちょっと…相談したい事があって」

俺と大悟は公園で待ち合わせをし、兄貴の事を話す。
ちょうど、誰もいなかったので助かった。気づけば夕方になっていた。

「…大悟」
「よ!」
「なんだなんだ…いきなり相談なんて」

俺はしわを寄せて話す。

「実は…俺…兄貴が居たんだ」

大悟は案の定、口を開けて驚いている。

「え!?」
「びっくりするだろう…?」
「嘘とかじゃないんだな!?」

大悟の動揺っぷりに俺は思わず吹きそうになる。

「本当だって!俺が嘘ついた事あるか?ないだろう!?」

大悟は俺の慌ただしさにたじろぐ。

「…無いな」
俺はブランコに座る。大悟もそれについで、座った。
「紀和…どうだった?会って」
「あぁ。それなりにいい人だったよ」

「ハハハ…そうか」

辺りは誰もいないので、静かな様子だ。

「言いたかった事はそれだけだ」

俺がそういうと、大悟はキョトンとした。
そんなに驚く事か?

「なんだよ…長話かと思ったのに」
「アハハ、ごめんごめん」
そして、俺は家に着いた。


「…よし…」
冬休みも終わり、学校に行く。

「翔!」
「あ おはよう!大悟!」
「実はなぁ…紀和から大事な話を預かってるんだけど」

これは言うべき事か?

「何?」
「兄貴が居たんだって」
「え!」
「やっぱり驚くよな…」


10分後―
とある休み時間。

俺は大悟と出来ればあまり話をしたくなくて、廊下に出ていた。

「紀和!」
「ん?なに?」
振り向くと翔が居た。

「兄さんが居たって…本当なの?」
俺は口をあんぐり開けて驚いた!
「…もしかして、その情報は」
「大悟」

翔がそう言った後、すぐさま走って俺の教室へ走った!

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