《MUMEI》
記録会
そうこうしていると、あっと言う間に土曜日になった。


今日は朝から陸上の練習だ。


一番に競技場に着いたつもりが、
既に多数のメンバーが来ていた。


「エラく早いな。」


俺がメンバーの一人に声を掛けると、


「ハハッ、なんか張り切っちゃってさぁ、

いつもより早く目覚めてしまってよぉ。」


頭をかきながら照れくさそうに話す。


「俺も!!」


隣りにいた一人も同意した。


「そんなに張り切る様なもんなのか?
記録会って……。」


俺がめんどくさそうに言うと、
二人は意外そうな顔をした。


「え?
だって今日のタイムで次の試合に出る奴決めるだろ?」


あぁ、そうだった。


このクラブはタイムの速い順で試合に出られるのだった。


勿論、エントリーされる人数は決まっている。


だから周りの奴等は必死だったのか。


「颯馬はいいよなあ……」


「何が?」


「だって全国レベルだせ?

エントリーされて当然じゃん。」


「ふーん……。」


「それに会長は颯馬の親父だろ?

約束された様なもんだろ。」

ドクン……

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