《MUMEI》
騎士団の墓地
日はまだ高く、十分に時はあるようだ。昼下がり、そんな時間だろう。
とりあえず、そういった感じで、守護騎士達の詰め所を目指して、歩き始めていく。 地図があるとはいえ、初めて行く場所、道を間違えたらしく、墓地に出てしまった。

教会の隣だからなのか、綺麗に掃除されている。興味を引かれ墓地の中へと歩を進める。
風流れ、静かにのんびりと時が流れてゆく。
「早いものだね、あれからもう3年・・4年かな?ま、どっちでもいいけどさ〜。まったく
君が居なくなったせいで、私が守護騎士団の団長になったじゃないか。副団長目指してたのにね。
でも、一つ目の約束は果たしたよね?」
墓地だと言うのに明るい声が聞こえてくる。言葉の内容からすると守護騎士のようだった。興味を惹かれそちらへ向かって歩いていく。
「ん〜なんか文句ばっかりだね。ってあぁ!こんな時間だ・・戻らないとま〜たバンプがうるさいし。また来るよ。んじゃね〜!!」
そう声が聞こえた、そう思った頃にはもう遅かった。
ゴィン!!
盛大にぶつかった。
「痛っ!!」
狩月は軽く吹っ飛ばされた。ぶつかった相手は金属製の鎧を纏っており、かなり痛かった。
「おっと・・大丈夫??」
すっと手を差し出しながら声をかけてくる。
「すみません・・」
そう言って手を取り立ち上がる。
「ごっめ〜ん、急いでたからさ〜。っで君は誰?ここは守護騎士達が眠る場所なんだけど・・家族かなにか?」
急いでいたそう言っていたのにかかわらず狩月に話しかけてくる。
「えっと・・道に迷ったって言うか・・その、散歩してたって言うのか・・」
しどろもどろになりながら答える。
「ふ〜ん・・そうなんだ。てっきり、墓荒しかと思ったり・・してないけどさ。」
沈黙をしている狩月に視線を向け、
「ここはね、私達、守護騎士が眠りに就く場所なんだ。私が憧れた人達や、一緒に戦った仲間とかが静かに眠っているんだよ。道に迷ったって言ってたけど、悪戯目的で入ってきたなら捕縛して牢屋行きだからね。気をつけなよ。」
表情は完全に笑み。言葉も冗談まじり。だが、声には凛とした響きがあり、十分な威厳がある。光の当たり方で金色にも薄い朱色にも見える髪が風になびき、纏っている鎧は銀色に輝いていた。その姿に見惚れ、声を出すことができない。

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