《MUMEI》

「……嘘だろ、お前にそんな事…できる訳がない……」




仁は一瞬動きを止めたが、ゆっくりと俺を絨毯の上に押し倒した。

「惇の話は今はいいから…、俺の事だけ考えてろ」




仁の大きな手が俺のシャツの中に入ってきて、同時に首筋に吸いついてきた。





「ぁ…、仁…、じん……、ン…、ンッ…」









慣れた動き、慣れた熱い肌に、身体がどんどん浮かされていく。







高校時代、毎日の様に抱かれ、






毎日の様に心の中で、彼の名前を叫んでいた。






心の中で何度も愛してると言い…





しかし…








言葉には出した事はなくて






言われた事もなくて……






「久しぶりのわりに感度いいな、もう…こんなになってる」



「は…、ふぁ…、……ン…、」





前を擦られながら後ろを弄られて、




もう訳が分からなくなる。






カッターを刺した時に感じた肉を押す感触。






あの男の呻く声…






−−−−−酷く朱い血……







俺は全てを払拭するかの様に、仁の背中にしがみつき、






欲情を開放させた。







自ら脚を開き、声を荒げると仁は薄く笑いながら服を脱ぎだした。

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