《MUMEI》

「言うな……」


「?」


「父さんの話しはするな!!」


俺は手にしていた荷物を思い切り地面に叩き付けた。


「……ごめん」


申し訳なさそうに謝るメンバーに更に苛立ちを感じた。


「お前その言葉………」

「集合ーー!!」


俺が何かを言い掛けた時、不意に父さんの声が聞こえた。




ドクン……


俺と話していたメンバーは、
少しホッとした表情で集合場所へ向かって行った。


しかし、一方の俺は……

段々と高くなる胸騒ぎを必死に押し殺していた。








「今日は………」


メンバー全員が揃うと、
父さんが今日の記録会の説明をし出す。


最初は短距離の奴等、次は中距離、


どうやら走り幅跳びは長距離組のあとらしい。


…と、言うことは……


それまで他のヤツのアシスタント。


「颯馬っ補助付いてくんない?」


「いや、こっち頼む!!」


「先輩お願いします!!」


説明が終わると口々に補助の依頼を頼まれた。


「いや、俺そんなにたくさんの人に補助付けないから。」


苦笑いを浮かべながら軽く断ると、


「じゃあ俺頼むっ!!」

短髪で動く筋肉みたいなヤツが俺の前に進み出た。

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