《MUMEI》 動く筋肉…… ……じゃなかった。 木村勝己(きむらかつま)……。 短髪な髪型が彼の角張った頬を一層際立たせている。 目は一重の割に大きく、 眉は釣り上がっているため、 どんなものでも見透かさんと言わん許りだ。 そしてやはりこの筋肉だろう。 上半身にも下半身にも満遍なく筋肉が付いている。 無駄な脂肪と言うものが見当たらない。 だが、せっかく鍛えていても、 体か硬い。 「頼むっ!! フォームだけでも見てくれー」 だからよくフォームを気にしているのだ。 現にコーチ(俺の父さん)からしょっちゅう注意を受けている。 木村がもう一歩俺に近付く。 「…っおまえ!! 顔近い!!」 物凄い迫力だ。 「お願いだー 颯馬!!!」 ここまで頼まれちゃあしょうがない。 「…で、どこ見ればいい?」 「おぉっホントに見てくれるのかっ!!」 うわっなんだよその目…… 俺よりデケェくせに、 子犬見てぇな面しやがる。 「だ、だから!! どこ見ればいいんだ?」 「うーん、 スタートから加速に入った時と、 トップスピードに入った時、 それからフィニッシュする時、 それから……」 おいおい…… フォーム:走る時の姿勢 トップスピード:一つのレースの中で、一番速く走る区間 フィニッシュ:ゴールする体勢 前へ |次へ |
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