《MUMEI》

「いらっしゃいませー」
「どーぞ見ていってくださーい」
私とナオはお客さんに大きな声で呼び掛けた。

着ぐるみの人が何人か子供に手を振ったり、写真を撮られたりしていた
着ぐるみの一人が私とナオの元へと手を振りやってきた

私は反応しなかった
ナオは笑って手を振りかえした
「幸君でしょ」
ナオは振り返しながら着ぐるみに言った
着ぐるみがコクコクと頷く
だが、私は着ぐるみの中身が幸君と知っていながら反応をしていなかったので、顔を背けた
それでも、幸君は私に向かって手を振り続けた

「お嬢ちゃん手振ってやんなよ」
おじさんに言われ、私は渋々手を振った。

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