《MUMEI》
別々に移動
大人組が当たり前のようにカラオケボックスに向かうのを見送ると、俺達も移動を開始した。


「なぁ、何でここ?」


俺は順番待ちをしながら、祐に尋ねた。


「普通、高校生がゆっくり語るなら、ここだろ?」

「まぁ、そうだけど」


俺は何を語るのかさっぱりわからなかった。


前にいた高校生カップルがいなくなり、俺達は


「いらっしゃいませ!」


満面の営業スマイルの店員に、飲み物を注文した。


祐は、『たまに無性に食べたくなるんだよね』と言って、ポテトも一緒に頼んだ。


ここは、駅前のファーストフード店だった。


(にしても、目立つよなあ)

四人がけのテーブル席に着いても、まだ視線が痛かった。


(こんなとこでゆっくり話ができるのか?)


そう思いながら、俺はアイスティーを飲んでいた。


「ほら、柊。とっとと話せよ」


言いながら、祐はポテトをつまんでいた。


「あのさ…」


高山は、気分を落ち着ける為にコーヒーを飲もうとして


「アチッ!」


舌を火傷していた。


「柊君、大丈夫?」


隣で同じ飲み物を平然と飲んでいる希先輩が、かなり驚いていた。

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