《MUMEI》
逆に質問
「そう言えば、二人は付き合ってるんですか?」


高山がしばらく喋れないようなので、俺から希先輩に質問してみた。


「二人って、私と柊君?」

(違いそうだな)


希先輩は全く動揺していなかった。


俺が頷くと、希先輩は予想通り『違うわよ』と言って笑った。


隣で高山が、落ち込んでいるのがはっきりわかった。

「でも、今一番仲がいい男の子は柊君だけどね」

「げげげ、厳、よりも!?」


高山は立ち上がり叫んだ。

「おいお〜い、キングなんだから、悪目立ちすんなよ」


祐が茶化すと、高山が真っ赤になって座った。


「で、でで、さっきの」

「厳君はたまに会うからふざけるけど、私が好きじゃなくて、小さくて大人しい日本人の女の子が好きなのよ」

「の、希さんの事じゃないですか!?」


確かに希先輩はその条件を満たしていた。


「よ〜く、見てみろ、柊」

再び立ち上がりかけた高山の頭を押さえながら、祐は周りを見回した。


「そんな子は、どこにでもいるだろ?」

「あ…」


祐に言われてようやく高山は気付いた。


厳の好みが『普通の日本人の女の子』なら、ほとんど当てはまる事に。

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