《MUMEI》
平凡な日常
「大悟!」

その時、教室内は静かになった。

「…なんだよ」
「お前…翔に兄貴が居る事言ったのか?」
俺は大悟の下へ駆け寄る。
「言ったけど?」
「…ハァ…普通言わないのが礼儀だろう?」

自分の席に座りながら話す。

「言ったっていいだろう?俺とお前と翔は親友なんだから」

いくら親友でも言っていい事と悪い事が!

「大悟〜…まぁ、仕方ないか…」

そして、翔も教室へ戻って来た。

少し大きな声でみんなに話して来る。ちなみに彼女は学級委員長なのだ。

「…へぇ…紀和ってお兄さん居たのね?普段一人暮らしじゃなかった?」

俺の隣の女子が話かけてくる。ちなみに名前は“れな”。

「あ、あぁ…そうだね。まぁ、いてもおかしくないよ、誰の家にもきっとある事だから」

「そうかしら?」

そして、チャイムが鳴り終わり、帰る仕度を始める。
「今日の体育きつかったな〜大悟!…大悟?」

俺は階段を下がる時、てっきり居たと思った大悟がいない事を知らなかったのだ。

「え?どこに居るんだ?」
教室に居ると思って戻ると、れなと話していた。
休み時間に俺が話しかけられた人だ。


「なぁ、お前…俺と付き合ってみない?」
「嫌よ!だってデリカシーなさそうだもの!」

笑われてやがる…あの大悟じゃあ…性格直さないと無理だな。

俺は大悟の傍に行く。

「しっかりしろ、お前は焦る必要はない。」
ズーンとした顔を見た大悟は久しぶりかもしれない。
「なぁ…俺、翔には分かってくれるよな?この気持ち」
「知らん。さぁ、帰るぞ!」

翔も連れて、仲良くそれぞれの家まで帰る。

「…ハァ。大悟には困ったもんだぜ…」

そして、俺は家の鍵を開ける。

(翔には心配かけたくないのに…)

体が何故か熱くなって来る。あいつを想うだけで…

鞄を置き、制服を脱ぐ。

冷蔵庫に行き、ペットボトルを出し、お茶を飲んだ。

「…頭冷やそ」

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