《MUMEI》

「よーい……」


スターターの声で、
皆一斉に腰を上げる。


一瞬の間に張り詰めた空気が流れる。






そして……





パァンっ!!!!




…ドクンっ!!!!


スタートの合図と同時に、
今までにない、胸の高鳴りが起こった。


反射的に身体が動き出す。


俺は無我夢中でゴールを目指した。













気が付くと、
またもや視線を浴びていた。


でも今度のはいまさっきの感じとは違う。


「颯馬……お前……」


不味い。


咄嗟にそう思った。


しかし、そんな俺の考えとは裏腹に、
意外な反応をされた。


「勿体ないっ!!!」


真っ先にとんで来た声の主は……


木村だった。

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