《MUMEI》

「モッタイナイ??」


な、何のことだ!??


すると、


「颯馬……しょうがないな。

リレーの座はお前のもんだ。」


「は??」


訳の分からないことを言われた。


実際は俺がこの状況に付いていけてないだけだが……。


そいつはリレーメンバーの一人、岡部雅之(おかべまさゆき)。


彼の明るい性格は先輩後輩問わず人気がある。


俺は岡部はその性格故に冗談を言ったと思った。

「スパイク履かずに一着でゴールされちゃあ……
悔しいけど今のリレーメンバーの中では俺が遅いんだし……」


いや、そうでもなさそうだ。


「妥当だな。」


俺の変わりに答えたそう言う木村は、
リレーメンバーだ。


仲間が外されるのに何も思わないのか??




いや、まてまて……


俺は幅跳び専門だ。


そもそもリレーメンバーになる興味すらない。


「いや、あのさ木村。」

「ん??」


「俺、幅跳びじゃん??」


「うん。」


「だから……そのリレーメンバーには入れ無いって言うか……」


ついしどろもどろ話してしまう。


すると、いきなり木村が俺の肩を鷲掴みにして何か話そうとした。


「お前…わかっ……」


「さわんじゃねぇっ!!」

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