《MUMEI》

父さんはそれだけ言うと、
コーチ専門の白いテントへと戻って行った。


「お前も大変だな。」


岡部が同情の表情を見せる。


「ああ、前は出させてもらえたのにな、
リレー……」


木村も同様に哀れんだ声を俺に向ける。


……どうしてそこまで俺にこだわるんだ……


俺は二人の声が俺に向けられていることなど気付く余地もなかった。


尋常じゃない程俺にこだわる父さん。


そこまでして俺にこだわる理由は??


俺に何をさせたいんだ??


必死に考えを巡らせても、
答えが見つかる筈も無く、
逆に空回りするだけだった。









「次、走り幅跳びの記録とるみたいだぞ。」


メンバーの一人が俺に駆け寄ってきた。


俺はその言葉にハッと我に返った。


今はレースに集中するんだ。


そしていい結果を残すんだ。


いつもなら今までどうり、
フツーに記録会を済ますのだが、
今回の俺はそう言う訳にはいかなかった。


なぜなら、
あることを目論んでいたからだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫