《MUMEI》

(強い…わね。)


「…」


「あっ…


ちょっとちょっと!!


何凹んでんのよ!!


まだ前半でしょ!?


あ…あたしがちゃんと作戦考えてるからこっから逆転よ!!」


「…ホントかよ。」


「15点差すよ?


厳しいでしょ。」


(まぁ…


ぶっちゃけ…ね。)





「余裕だな。」


「ま、西条相手じゃな。」


「先生後半の作戦は?」


「あ…


えっとこのままで大丈夫なんじゃないかな?」


「ふ〜ん。」


頼りなく指示を出す安本を、


(おい。)


「?」


翔太が小声で呼び出す。


「お前バカか?


前半で相手の実力はだいたいわかっただろ?


このまま勝ったって生半可な自信が残るだけだ。


だったら1年使うとか、
色々あんだろ!!」


「あっ…


そっ、そうか…」





「あ〜い。


後半始めますよ〜。」


「なっ…」


「え!?」


「は!?」


赤高のベンチから出てきたのは、


村木、


沖、


千秋、


そして残りは1年生だった。


「なっ…」


(舐めやがって…!!)


大差がつくと二軍の選手が出てくることがある。


相手チームにとってこれは屈辱なのだ。


そして当然西条にも、


「絶対勝つぞ!!」


火がついた。

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