《MUMEI》

クロには、


以前から試したいことがあった。


ただ、


チャンスがなかった。


そいつは春休みにいじけて一時期練習を休んでいたし、


大会で実験をすることもできなかった。


クロが試したかったこと。


それは、


千秋を前線に置く1、5ディフェンス。


相手チームの司令塔、エースを抑える為に千秋をトップに置き1、5ディフェンスを行うことだ。


(…とはいえ僕今審判だしなぁ〜。


安本さんに任せるって言っちゃったし。


う〜ん…


でも…


試したいなぁ〜…)


「ナイスキー!!」


赤高1年久保のロングシュートが止められる。


「速攻!!」


「ナイッシュー!!」


速攻が決められる。


「くそ…」


20対9。


本来ならば安全な得点差であったが、


それは逆に、


追い付かれるという事実への反応を遅らせる物でもあった。

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