《MUMEI》 いくら村木が上手くとも、 そう何度もフリーのシュートを止めることはできない。 西条は、 立川の突破を中心に、 少しずつ点差を詰める。 一方の赤高は決定打に欠け、 かろうじて千秋のサイドシュートからファールをもらい、 沖が7メートルを決めるという形で1点を取っただけだった。 そして後半15分。 21対15。 点差は6点にまで詰められていた。 (さすがに1年中心はキツいか…。 15分で2点しか取れてない…。 久保のロングと沖の7メートルだけだ。 この調子だと追い付かれるな…。) 「行けるぞ!!」 流れは完璧に西条だった。 「お前ら気合い入れろ!! 15点差もあったんだぞ!!」 ベンチから激が飛ぶ。 「…」 ここでクロは、 もう1つ試してみたいことができた。 それは、 この逆転を許しそうな状況化を放置し、 あえて逆転を許すということ。 残り時間も少なく、 相手の流れという状況でレギュラーを出すとどうなるのか? 追い込まれた状況でのレギュラーの力を見たかったのだ。 「キュッ!!」 立川の足が止まる 「…!!」 「バンッ!!」 一瞬の隙を見逃さない。 ワンドリブルから突破。 そしてシュート。 「ナイッシュー!!」 21対16。 5点差。 ここに来て初めて、 『これは不味い…』 という心理が赤高に生まれる。 前へ |次へ |
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