《MUMEI》
「な、やっぱり心配じゃないか?」
「うん…、はあ…、気合い入れて電話するか〜」
「うん、大丈夫、惇には俺が傍にいるんだからな」
惇はそうだねと笑いながら小さく言うとバッグから携帯を出した。
俺は目線を前に戻し運転に集中する。
▽
「…出ないや」
ため息混じりに惇は携帯を閉じた。
何度か、かけ直しを繰り返したが応答がなかったみたいだ。
「…ちょっとしたらまたかけろよ、つかメールで安心させれば出るんじゃないか?あいつは軽傷だから心配すんなとか…」
「は、そうか、怖がって出ないのかもな…、そうだよな」
惇はドリンクホルダーからミネラルウオーターを掴み、一口飲むとまた携帯を開いた。
と同時にファミレスの駐車場に俺は車を止める。
さすがに朝から食べてなくてしんどい。
惇に合わせて何となく俺も食事を抜いてしまっていたから。
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