《MUMEI》

「な、やっぱり心配じゃないか?」



「うん…、はあ…、気合い入れて電話するか〜」



「うん、大丈夫、惇には俺が傍にいるんだからな」


惇はそうだねと笑いながら小さく言うとバッグから携帯を出した。



俺は目線を前に戻し運転に集中する。







「…出ないや」




ため息混じりに惇は携帯を閉じた。




何度か、かけ直しを繰り返したが応答がなかったみたいだ。

「…ちょっとしたらまたかけろよ、つかメールで安心させれば出るんじゃないか?あいつは軽傷だから心配すんなとか…」




「は、そうか、怖がって出ないのかもな…、そうだよな」

惇はドリンクホルダーからミネラルウオーターを掴み、一口飲むとまた携帯を開いた。


と同時にファミレスの駐車場に俺は車を止める。





さすがに朝から食べてなくてしんどい。

惇に合わせて何となく俺も食事を抜いてしまっていたから。

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