《MUMEI》
温泉で実験
夕食は、純和風の懐石料理だった。


素材本来の旨味をいかした味付けと、見た目の繊細な美しさに感心しながら、俺と忍は食事を終えた。


忍は食事中に日本酒を飲んだから、後で入ると言うので、遠慮なく先に露天風呂に向かった。


一応、忍の事を考えて、先に髪と体を洗ってから、お湯に入った。


(これが温泉かあ…)


お湯の中で、そんな事を考えていた。


(それにしても、広いよな)

岩で出来た露天風呂は、かなり広く、深さもあった。




(ちょっとだけ、…いいよな?)


俺は、ある事を試してみたくなった。


(まずは、クロールからいってみるかな)


俺は、水泳の授業を思い出しながら、軽く


生まれて初めて泳いで…


!?


(何で沈む?)


俺は慌てて立ち上がった。

(落ち着け、俺)


初心者にクロールは辛いのかもしれない。


(次は、平泳ぎだ)


俺は、頭の中でイメージを固めた。


「よし!」


水面で両手と両足を動かす。


!?


ザバァ!


「何で沈むんだ!?」


俺は、わけがわからなくて混乱した。


何度繰り返しても、沈む。

そして立ち上がるを繰り返しているうちに…

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