《MUMEI》
「あ〜、胃に染みる」
「はは、こっちも食べるか?」
「まあ、い〜や、また気分悪くなっても何だし」
女の子がよく注文する雑炊のセットをゆっくりと口に運びながら惇は時々携帯をちらちらと見る。
車の中で打ったメールの返信もなく、さっきもう一度電話したが向こうは出なかった。
すると、あまり和食を好まない惇が付け合わせの沢庵を口にした。
漬物は苦手なのかと聞いてもないのに勝手に思い込んでいたからちょっと新鮮な光景だったりもして。
「沢庵食えるんだ」
「うん、好んでは食べてないけど、隆志は?」
「あ〜、俺も食えるけど好んでは食わないな」
特大ハンバーグをあっという間に仕上げた俺は只今ピザと格闘中だ。
惇がのんびり食べているから気兼ねなく再度注文した訳で。
まあ、のんびりされなくても気兼ねなく注文したけど。
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