《MUMEI》

あれは確かーーー


ずっと昔の自分。


あの時の俺は一人だった。


いや、一人じゃないといけなかった。


友達なんて意味ない。


結局独立する日が来たら、
お前は一人になるんだから。


親父に言われた言葉。


あの時の俺はその言葉を信じてて、


でもなんか心がポッカリ空いてて、


まるで感情のない、機会人間のようだった。


「おーい、蓮翔!!」


ふと我に返った。


ヤバい、練習中だった。

「どうした?らしくねぇな。」


キャッチャーの豪田がマウンドへ駆け寄って来る。



「な、何でもない!!
大丈夫だって!」


「そうか…?」


だー!!


もう何考えてるんだ俺は……


明日試合だってのに!!

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