《MUMEI》 「……中々、興味深い余興だな。」 靄のかかる頭の中でも千石様の声は研ぎ澄まされている。 「本当なら犯し殺してゴミみたいに棄ててやりたかったんだ。 見付かっては仕方ない、あんたの可愛いのの目玉をくり抜いてやりますよ。」 眼球を指で見開かれる。 「……視神経を上手く引き剥がせよ。」 千石様にはいつもの余裕がある。 「その、いつでも冷厳なあんたが始終締め付ける……逆らえ無いんだ……大切なものを奪われても尚……」 この人は私に似ているのかもしれない。 「藤間、私の“影”ご苦労。もう二度と現れるな。」 起伏の無い命令だ。 藤間さんは私の眼球に向けていた刃物を千石様に向き直していた。 悲鳴に近い叫びで千石様に突進してゆく。 千石様は事もなげに軽やかに避け、藤間さんは地面に手を付けた。 いつの間にか入って来ていた他の男性の使用人に連行されてゆく。 前へ |次へ |
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