《MUMEI》

「何を考えている?」


ビクッ!!


記録会を終え、互いの記録の成果を讃え合っていると、
突然、頭を鷲掴みにされた。


いきなりの父さんの行動に、
周囲が一気に凍り付く。



「…な…んのことですか?」



父さんはゾッとする様な無機質な目で俺を捕えている。



「誤魔化しても無駄だ。」



もしかして…明日の蓮翔の試合のことがバレたのか?!


「右肘が浮いていた。」

「!??」


「助走の時だ。
何か我を忘れる様なことがあったんだろ?」


ドキッ…


どうやら試合のことまでは気付かれ無かったみたいだ…


だが……


「良い成績だったが、罰として、
明日練習が終わった後自宅でミーティングだ。」


やはりな……






良い結果を残せば必ず明日の午後は空く。


そんな俺の密かな企みは呆気なく砕け散った。

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