《MUMEI》 「首輪……必要だったであろう?」 千石様はそう言って首輪の飾りの一部に触れた。 私の首輪に鎖を通し引きずる。 「首輪でモモを監視出来るようになっているのだ。」 見張られていた。カメラ等が入っているからこの重みだったのであろう。 今になって首輪の必要性を身を持って経験した。 衣服は裂かれ体は露出している。 通り過ぎる人々は私を見ずにひたすら千石様に傅く。 まるで生きることを放棄したようだ。 眼球の一つでもくり抜かれれば良かった。 藤間さんはそれで、千石様と決別したかっただろうから。 私は私で千石様以外の痛みを知ることが出来た。 「覚えておけ、モモ。 お前は私が死ねと命令する以外は殺させやしない……辱められたらそれ以上の恥辱を与えてやる。傷を受ければそれ以上の惨劇を刻み付けてやる。」 千石様は私の中まで侵してゆく。 ただの動物みたいに私は千石様に引かれ、無抵抗に踞る。 千石様はそんな私をゆっくり触る、小さな動物を握るみたいに。 臍のピアスを引く、電気でも走るような疼きだ。 薬で体の自由はきかない。 妙に意識だけが鮮明で、一つ気付いたことがある。千石様は一度も私の前で御召し物を脱ごうとはしない。 私はこんなに惨めな姿を晒しているのに……千石様が私を前に余裕を失いかけたのは鞭を振るい、『八十』という言葉を聞いたあの日一度きりだ。 千石様は私を弄ぶときは私は後ろ向きにされる。 そう、 私が間違っていなければ千石様は隠している。 黒い着物の中に…… 前へ |次へ |
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