《MUMEI》

その頃、大悟は―

「なんだ?相談というのは」
「…実は…」

大悟は先生と職員室に行っていた。

「あいつ、絶対悩んでいるんです」
「…紀和かい?」
「はい。でも、俺に出来る事はなにもなくて…」

座りながら話していた。

「大丈夫だよ」
大悟はうつ向いた顔を重くあげる。

「信じなさい。君がいなくては紀和も辛くなるよ」
そして、大悟は笑顔になった。

「はい!」

一方、俺はというと―

「…翔…」
家に帰ってた。
何故か翔も一緒になって来ている。

「なんだ?」
「なんで家に来た?」
俺は制服を脱ぎながら話す。

「いいじゃないかよ〜アタシだってたまには」

たまにか?と少し考えながら服を取る。

「…翔はなんでヤンキーになったの?」

翔はそれまで飲んでいたココアを止めた。

「なんで…?」
「いや、言いたくなかったらいいよ」
「アタシも分からない」

そして、俺は翔の居る居間へ行く。

「なんで?」
「なんで…かな」
「親とゴタゴタしてたのかい?」

翔は俺の言葉に悩んでしまった…
少し悪い事したかな。

「アタシは突っ走りたかったんだよ…親の束縛が辛くて」

俺の言い伝えと同じ事だ…

そして、翔は笑った。

「ハハハ!まぁ、なんでなりたいのかっていうのは少し分からないけどな」

俺は翔の横に座る。

「そうか…」

「アタシはあんたで良かったよ」
「本当に?」

翔は自信を持って話す。

「ふーん…」
「ヤンキーを止めたのもみんなあんたのおかげ」

そう言うと、立ち上がった。

「アタシは帰るよ。明日は休みだけどな」
「…おう」

そして、翔を見送る。
外はすっかり暗かった。
しかも寒いのだ。

「…じゃあな!元気だせよ」
「翔に言われたくないよ」
翔はマンションから去り、俺は部屋に戻る。


(…少しすっきりしたかも)

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