《MUMEI》

バサバサいわせてパンパン叩きながらシーツを干す。





だって皺だらけで干すと真菜がうるさい。




朝にはある程度乾いてくれるだろうと期待しつつベランダから部屋に戻れば、同時に玄関がガチャガチャと鳴った。

「あ!秀幸!!」




一瞬で姿を確認、俺は玄関に入った瞬間の秀幸に勢い良く飛びついた。



「こら!あぶねえよ!まてゆうちゃん」
「や〜だあ!ダ〜リン会いたかったぁ〜!」




ドアに押さえつける格好の状態で俺は不精髭の秀幸の頬に露骨に頬づりする。





そして軽く唇を合わせたら、ちょっとだけ笑い声がして、逆に深く塞がれた。














「ちょっと心配だったから来たんだ、どうなったかと思って」


秀幸はベッドヘッドに寄りかかりながら二本目の煙草に火をつけた。
俺は体の中から流れ出てきた秀幸の精液に擽ったさを感じながらティッシュでそこを押さえる。



「うん。俺もまだ良くわかんないの、
でもまあ、あの二人で解決しそうな気配だから…、あっと!ちょっとシーツに着いた!今さっき代えたばっかなのにん」
ティッシュで受け止めきれなかった分がシーツに染み込んだ。
慌ててティッシュを抜いて拭くと秀幸はクスクス笑った。



「俺んちじゃ気にもしねーでおもらしまでするくせに」

「…その話は俺にはタブーだぞ秀幸……つか真菜がいるんだ、…こんなシーツじゃヤバイだろ〜が」



そりゃ失礼しましたとか言いながら秀幸は咥え煙草のまま冷蔵庫に行き、黒烏龍茶を出した。





ぽんと一本俺に投げ、自分はキッチンに寄り掛かりながらそこで飲みだす。



「でもな、一応連絡しろ、…刺されてんだろ…潮崎君…
どんないきさつでそうなったのか…
少なくとも俺達は知る権限がある。
何てったって急いでこっちに帰って来たんだからな…
俺だってお前だって気になって…今日、仕事無理矢理早く切り上げてきたんだし、……もう一回連絡しろよ」





秀幸はグイッと一気に飲み干し、風呂場に消えた。





俺はそうっすね…と呟きながら、そして携帯を掴んだ。

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