《MUMEI》 一番乗り『忍は何か欲しいものあるか?』 『何だ?急に』 『いや、いろいろ、迷惑かけたし、温泉楽しかったし』 俺はたまには何かお礼をしなければ、と思った。 『ただでさえ、恋人のフリなんてさせてるし』 『…じゃあ、今から言うものを買ってこい』 『わかった』 そして、俺が買ってきたもの。 それは、温泉旅館の近くの洋菓子店で売っていたチョコレートケーキだった。 限定版で人気商品らしく、かなり待たされた。 しかも、忍は一口食べただけで、『後はお前が食べろ』と言った。 (まぁ、美味しかったからいいけど…) 俺はいまいち忍の行動がわからなかった。 もっとも、俺はいつも忍がわからない… …ような気がした。 最近は、特に。 「…や、祐也」 (おっといけない) 回想に浸っていた俺は、現実に戻り、志貴に説明をした。 「一つのケーキを二人で食べ合うなんてどれだけラブラブなの? しかも、誰よりも先に祐也からもらうだなんて …やるわね。 せっかく私が一番乗りしようと思ったのに」 そして、俺はバレンタイン前日に女の子ー志貴から、生まれて初めてチョコをもらった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |