《MUMEI》
「おかえりなさい」
周哉が家に帰ると、弥生が玄関にいた。
「た、ただいま」
まだ少し違和感がある周哉。
「帰ってくるの早いのね。いつもそうなの?」
「いや、今日はたまたまです」
「そう。あ、そういえば猫飼ってるのね」
「はい。ミーヤって言うんですよ」
「ミーヤちゃん。可愛い名前ね」
弥生はそう言うと靴を履き始めた。
「どっか行くんですか」
周哉が聞くと、
「うん、仕事よ」
弥生はそう答えた。
「頑張って下さい」
じゃあね、と言って弥生は出て行った。
周哉がリビングに行くと、秋穂がミーヤを撫でていた。
(ミーヤが懐いてる。あの麻耶にしか懐かなかったミーヤが・・・)
「あ、帰ってきてたんですか?」
周哉に気付いた秋穂が声をかけてきた。
「あ、うん」
「おかえりなさい」
秋穂が笑いながら言ってきた。
(に、似てる。笑ってる所とかそっくりだよ)
秋穂を見ながら周哉はそう思った。
「あの、ちょっとお話が有るんですけど、良いですか?」
突然、秋穂が言ってきた。
(話?何だろう?)
「うん、良いよ」
周哉が言うと、秋穂はちょっと恥ずかしそうにしながら言った。
「お兄ちゃん、て呼んでも良いですか?」
「・・・は?」
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