《MUMEI》

「じゃ、バイト戻るからさ」
「うん、頑張ってな、…それと、ケーキありがとう」
すると誠は一瞬でふと我にかえった様に真顔になった。

「あ、あのケーキ半分日高もちだからさ」
「え?日高?…割り勘?」

「うん、そう。
本当に今日の夜持って遊びに行くつもりだったんだよ、
日高も二人がいちゃこらしてるとこに一人じゃ行きづらいって言ってたからさ、だから二人で聖に会いに行く約束してて…、やっぱ
ダチの誕生日は祝いたいじゃん?
ちょっとおじゃま虫になったっていいから会いたかったんだよ」

「誠……」

「ま、日高には上手く言っとくからさ、やっぱ今日は二人きりにしてやるよ」

じゃあって誠は足早に立ち去った。
相変わらず俺なんかより大人っぽくてかっこよくて…

「ちょっと残念だった?」
「な、何が…」
ちょっとどきっとして、俺は貢を見上げる。
貢はなぜか悪戯を思い付いた無邪気な様子で

「誠、日高に取られて残念だったな」

「は?はあ?どういう…意味だ?」


「気がつかなかった?−−−−−誠−−−−−、日高の名前出す時、瞬き多かった」


−−−−−!!

「み、貢!!
あいつ、そう!!
緊張すると瞬き増えるっつ〜か!!」


凄い!初対面で…!
つか誠が日高を…


マジっすか??

へ〜……

「ちょっと!聖ちゃん冗談だよ!そんな誠が日高好きになる訳ないじゃん!
本気モードになんないでよ!」

「は?」

貢はニッコリ微笑み

「冗談だって、ねえ。早くホテル行こうね?」

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