《MUMEI》 成原さんは悪びれる様子もなく、「ふーん」と小さく言った。 「・・・なんで、こんなことしようと思ったの?」 「・・・。」 話したくないなら、しかたがないのかもしれない。でもやっぱり、私にはそれを知る権利があるような気がした・・・。 「杉田先輩とは、家が近所で、小さい頃から良く遊んでもらってたんです。」 成原さんは小さい声で、話し始めた・・・。 いつもの、真面目そうな話し方だった。 彼女には、七歳年上の姉がいたそうだ。妹に優しく、家族からも愛されて、本当に自慢のお姉さんだったらしい・・・。 五年前、自分と二人で買い物に行く途中、事故に遭ってしまい、お姉さんだけ、助からなかった・・・。 もちろん両親とも成原さんが無事だったことを、喜んでいたが、成原さん自身が、『私が死んで、お姉ちゃんが助かっていたなら・・・家族はもっと喜んだのでは?』と心に闇を作ってしまったのだ。 そんな時に、杉田くんから、『僕はお姉ちゃんの代わりに、ずっとそばにいるよ。』そう伝えられたそうだ。 前へ |次へ |
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