《MUMEI》

「こんちわ〜」

「あら、いらっしゃい。さ、上がって」

「「お邪魔しまーす」」




「よっ、久しぶり、光司」



仏壇の中の光司は、満面の笑みでそこにいた。


「俺なんとか大学卒業できたぜ!」

「お前ギリギリだったもんなー」

「うっせーよ!!」

「聞いてくれよ、俺この前彼女にフラれた〜」

「ざまーみろって言ってるぜ、絶対」

「クッソー!!」

「「ハハハハ…」」




あの屋上での、光司の告白。

光司ががんになったことを知っているのは、あの日屋上にいた俺らだけだった。
他の誰にも、光司は言わなかった。



『信用してるやつにしか、言いたくねぇじゃん?』



ベッドの上で、髪の抜けた頭をかきながら、照れ臭そうに光司は言っていた。




一ヶ月の命と言われていた光司は、本当に、一ヶ月後にこの世を去った。


きっちり、一ヶ月。
どこまで几帳面なんだよって、遺影に笑ったのを今でも覚えている。



「光司…俺ら、22になったぞ」











「これをね、みんなに渡したくてね」


麦茶を持ってきたおばさんが、俺らの前に1つの封筒を出した。


「おばさん、これは…?」



「光司が、22才のあなたたちに書いた手紙よ」

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