《MUMEI》 病院病院には連れて行かれなかったけど、幸せオーラが途切れることはなく、「キャラ変わった?」と言われることも少なくなかった。 「早苗さ〜ん!」 「あ、流理さん」 「旦那さんの登場ですよ。じゃあお届けしましたので」 「配達ご苦労様です」 「オレは荷物なのかよ?大切な弟に失礼な」 「ははは。じゃ」 「おい!肯定しろよ」 有理の叫びを無視して病院を出た。 最近、有理とのこんな漫才じみた会話が増えた。特に理由は無いけど、楽しい。 もうすぐこんなやりとりもできなくなるんだな…。 「……あれ?春日さん?」 「?どちら様ですか?」 急に話し掛けて来たその女性はサングラスを外した。 「あぁ川瀬さんじゃないですか。どうしたんですか?」 「私は父が入院してるんです。春日さんは?」 「オレはちょっと具合が悪くて点滴を……」 「大丈夫ですか!?でもさすがです。そんな風には見えません」 「はは……」 だって本当は元気なんだとは言えず。 「じゃあこれから仕事なんで」 「あ、では今度私の父に会って下さい。父は春日さん達のこと、今時の若い人にしては感心できるなんて言ってたんですよ」 「そんなことないですよ!あ、月岡さん」 「有希、いつまで待たせるんだ。もう行くよ」 「じゃあ川瀬さん、失礼します」 月岡さんは車に乗ってから早速確認してきた。 「…しゃべったりしてないよな?」 「なんでしゃべるんですか?」 「ならいいんだ」 月岡さんはほっと胸をなでおろした。 実は早苗さんの病院は非公開になっている。有理が素早く動けないから、もしファンが押し寄せたら大変。 ストレスを与えないためってのもあるけど。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |