《MUMEI》

「お〜す!!」


「おざ〜す。


ちょ、今日お客さん多いすよ。」


「あ〜、


やっぱG・W明けだと多いんだよなぁ…」


G・Wが終わり、


クロも学校が始まった。


当然赤高も。


しかしG・Wなど関係なく、


普段と変わらず働いていた翔太がいた。


合宿中はシフトをずらし、


夜の勤務になっていた。


高校の頃から同じガソリンスタンドでバイトをしていた翔太は、


いつの間にかバイトリーダーになっていた。


元々車やバイクが好きな翔太。


知識もあり、


高校在学中には危険物取り扱いの資格も取っていた。


そんな翔太にガソリンスタンドはまさに転職。


仕事は楽しく、


そして役に立っていた。


「…?」


うろうろ、キョロキョロするお客さんが、


翔太の目に止まる。


車には、


初心者マークが貼ってあった。


(初シマ貼ってる…


わかんね〜のかな?)


その人はセルフサービスのシステムがわからず、


どうすればいいのかわからない様子だった。


「どうかしましたか?」


駆け寄る翔太。


「あ、すみません…


どうやったらここが開くのかわからなくて…」


少し恥ずかしそうに言った。


(あ…


ここが開けらんないのね。)


「ちょっとよろしいですか?」


給油ドアを開け、給油キャップを外す翔太。


「あ、ありがとうございます。」


その瞬間。


衝撃が走る。











(かっ…


かわいい…)

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