《MUMEI》 刃が、私に向かう。刺されるのだろうか? 目を閉じる。 「私を刺して貴方が生き残るなら構いません。」 風を切る刃の音が聞こえた。そのまま、私は千石様に押し倒される。 どっしり、 刃先が床に刺さる。 唇を押し付けられた。 前歯に舌が触る。 視界の端に銀色の刃を見つめながら、彼の手から柄を外す。 「…………ン」 躱に、新しい感覚が生まれる。 気になっていた。 ピアスのこと。 彼の舌に、穴が一つ開いていた。 塞がってある、ピアスホールが。 私の臍のものと同じ…… 「八十は、お前の双子の姉だ。 二卵性双子だったのだよ。母親似のお前に似せて整形され、億永の父に囲われた……。」 私の脇腹を撫でる。 前へ |次へ |
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