《MUMEI》
15#
「上かっ!」

張り詰めた主の声で反射的に自らの頭上に向かい構える。


ドゴッッッッッツツ!!


重い物体がめり込むような音が辺りに響き渡る。

上空に向かって身を翻した主に、甲条院が金塗りの下駄を身ごと振り下ろしてきていた。


「主様ッッッ!!!」

「ッックハァッ!」

主の口から赤黒い塊が散らばり、ゆっくりと身体がくの字に曲がって行く。

「ホッホッ!そォれェェッッッ」

土に倒れることも許すものかとばかりに、甲条院は主に着地した右足を軸に左の足をブンッっと振り上げ

一瞬にして主の身体に打ち落とす。


「グアッッ!」

甲条院に足蹴にされ、主の身体は玩具の様に跳ねる。

「ホーーッホッホッォ!ここで死ぬでおじゃるヨォッッ」

耳障りな高笑いと共に次々と繰り出される攻撃に、反撃の隙を見出せず。

主はされるがままになっている。

辺りには途切れることなく、重く、骨をも砕くような恐ろしい音が響き渡る。

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