《MUMEI》

「だから、お兄ちゃんって呼んでも良いですか?って聞いてるんです」
秋穂の顔は真っ赤だ。
「な、何で?」
周哉が聞くと、秋穂は理由を話し始めた。
「前に兄がいる友達から兄についての話しを聞いて、いいなぁって思ってたんです。だから・・・。あの、ダメならそれでも良いです」
そう言われるとかえって断りにくい周哉。
(ま、いっか。別に困る訳じゃないし)
「良いよ」
周哉がそう言うと秋穂は、
「ほんとに?よかった〜。ありがとう!お兄ちゃん」
凄く嬉しそうな秋穂。
「あ、でも外じゃ呼ばないようにして」
周哉は秋穂に言っておく。
外で呼ばれて、自分をお兄ちゃん、と呼ばせて喜んでるような人には見られたくない。
「うん、わかった。お兄ちゃん」
秋穂も理由がわかったので何も聞かなかった。
その代わりに質問してきた。
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?何?」
「お兄ちゃんが通ってる学校って、どんな所?」
「どんな所って・・・。別に普通の学校だよ」
「変な人とかいない?」
「変な人ねぇ。凄いケンカが強い奴ならいるけど、大丈夫だと思うよ」
周哉が答えると、秋穂はホッとした顔になった。
「そっか、よかった〜。そういえば今日、行く所があったんだ。じゃあね、お兄ちゃん」
「うん。気を付けて」
そう言って秋穂は出かけていつた。

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