《MUMEI》

カチカチカチカチカチ…………


さっきからずっと時計との睨めっこだ。


……アレから更に時間が過ぎて、今は3時になろうとしている。


そんな俺を見兼ねてか、少し強い口調で父さんが怒鳴った。


「お前、やる気あるのか?!!」


父さんは黒いソファから立ち上がると、
ソファの色とは対照的な、
白色のミニテーブルの上に置いてあるテレビのリモコンを取り出す。


そして、前回の俺の走りを映し出しているテレビを乱暴に消した。


「何があるんだ!?」



俺は、俯きながらも自分の目を奪わんとするばかりの強い眼差しを感じた。


ヒヤリ…と冷や汗が頬を伝う。


正直に言わないと……


そう思う反面、俺の口が勝手に動いた。


「すみません!!
まだ走り足らないので!!」


そう言うと、練習用のジャージのまま家を飛び出した!!

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