《MUMEI》

新しい学校が始まり3日。


恭介は初日以来クロに話しかけることはなかった。


(何なんだよあいつ…


あんな奴だとは思わなかった…


男友達も多いみたいだけど、話しかけんのはほとんど女ばっかり…


休み時間には他の学科の女を皆と見に行ってる…


ホントにあれが黒田小太郎?


俺の最高だと思っていた試合のコートに立ってた男?


嘘だろ?


…こんなことなら秀皇に行くんだった。)


恭介が専門学校に来た理由は、1つしかなかった。


黒田小太郎と海南クラブに入ること。


恭介がヤマトではなくクロを選んだのにはいくつかの理由があった。


まずはヤマトが県外に行ったということ。


県外に行ったヤマトを追い掛けても海南クラブに入ることは難しい。


一方クロは県内。
そしてサイドというポジションに付いている。


キーパーは直接点を取ることはないが、


キーパーが止めたシュートを得点に繋げる最も簡単な方法が速攻だ。


速攻に一番関わるサイドであるクロを、


恭介は選んだ。


(それなのにこいつは…)


「ね〜ね〜、親睦会はいつにしようか!?」


「はぁ…」

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